介護はクリエイティブな仕事
- 佐藤 真基子
- 2019年7月6日
- 読了時間: 2分
ケアワーカースクール代表、介護福祉士国家試験対策講師の佐藤です。

これまでで一番思い出深いのは、ターミナルケアを担当した女性の利用者。
朝の体操だけは必ず参加され、人一倍本気で体操をする方でした。
日に日に死期が近づくように、食事を残すようになり、起き上がることも困難になりました。
こんな状態でも朝の体操の音楽がかかると『行く』といい、寝たまま微かに両手を動かしていました。
「この方の人生をより充実させるためにどうしたらいいか」を考え、毎朝、この方の寝ている個室の戸を全開にし、耳元で体操の歌を歌いました。
すると、想像以上に体を動かすようになり、『ありがとー』と喜んでくれて。
危篤状態になった日の朝も、同じようにみんなと体操をしながら亡くなられました。
耳元で歌った時に、かすかに反応したように見えた…ことは今でも忘れられません。
介護って、狭い世界の仕事だと思われがちですが、視野を広げてみれば非常にクリエイティブなんですよ。
身の回りの介助をするだけじゃなく、いかにその人の人生を充実させていくかが介護の仕事です。
「危険だからあれをやったらダメ、これもやったらダメ」で終わらせてはいけない。
もしも危険があるならそれを取り除けばいいだけですから。
どうやったら本人の思いや希望を最大限に叶えられるのか考えること。常にそれを心がけて。
自分の発想次第で仕事の幅を広げていくことはいくらでもできるし、その結果、喜んでもらえる。
難しい壁にぶつかることもありますが、やりがいは大きく、とても楽しいです。
教師になってから専門学校の生徒に必ず伝えていることがあります。
「生かすも殺すもみんな次第。生きてきた人生の最期の時間を、どうするかはみんな次第だよ」
長くキャリアを続けるかどうか悩むより、まずは介護の世界を知り、そして、経験してみてほしいと思っています。